間質性肺炎の作業療法のポイント 食事・入浴 リハビリ職の視点から

Interstitial pneumonia新人さん

今度 間質性肺炎 の患者さんを担当することになったんだけど、、、。

一般病院の呼吸器疾患の患者さんの中では、そんなに多くないかもね。

間質性肺炎ってどんな病気なのかなぁ?介入の仕方も分からないし。不安なことだらけ。

じゃあ、一緒に勉強してみよう。

  • 間質性肺炎ってどんな疾患か教えてほしい。
  • 介入のポイント、流れを教えて欲しい
  • どんな点に気を付けて介入すればいいの?リスク管理の方法は?

こんな悩みを持つ、学生さん、新人さんにおすすめです。

この記事の内容は
  • 間質性肺炎の基本的な知識が理解できます。
  • 介入のポイント、流れがりかいできます。
  • 安全にリハをすすめるための、リスク管理について理解できます。

間質性肺炎とは?

ちょっと聞き慣れない病名ではないでしょうか。

肺線維症とも呼ばれており、こちらの方が馴染みがあるかもしれませんが、どっちにしろ、あまり聞いたことの無い病気かと思います。

ホンとに簡単に説明すると、ブドウの房のような「肺胞」という本来はとても薄いが、厚く固くなり、酸素と二酸化炭素の交換ができなくなる病気です

息を吸っても吸っても息苦しいという、恐ろしい病気です。

原因

原因が特定できるものと、そうでないもので、分類され、さらに、外的な要因かそうでないかでわかれます。

外的な要因(自己以外が原因)→刺激となるものを摂取、吸入した。

  • タバコの煙やカビ、
  • ペットの毛、羽毛 
  • 粉塵・アスベスト 
  • 薬、高濃度酸素、サプリメント 
  • ウイルス(マイコプラズマ、新型コロナ)など


自己によるもの(自己免疫性) 
イメージとしては指の関節が変形する関節リウマチがわかりやすいと思います。

自己を異物として認識し、攻撃してしまい、細胞や組織の変性をきたしてしまいます。

そのようなことが肺胞壁で起こっています。

簡単に言うと?

皆さんも、ケガをして肌が深く傷ついた後に、傷口が固まり、治癒しても、元の状態と比べると皮膚が固く、厚くなることってありませんか?
そうゆうことが、肺胞の壁で起きていると考えてください。
本来はとても薄い膜構造であった肺胞の壁が、上記が原因となって(肺胞壁の場合は物理的な刺激ではないですが)、炎症をおこし、厚くなってしまったということです


原因が特定できないもの
 特発性間質性肺炎(国が認定した難病となります。)

 

臨床症状   

労作時の呼吸困難(歩行や食事などの日常動作での息苦しさ)と乾性咳嗽(痰を伴わない咳)になります。

原因が特定できない「特発性間質性肺炎」の場合、初期には症状はありませんが、症状は長年かけて出現・次第に進行していきます。

しかしながら、病状の進行の程度は人それぞれであり、進行がほとんどみられない方もいます。

出典 慶応義塾大学医学部 医療健康情報サイト

身体所見   

聴診した時にfine crackles(乾性ラ音、捻髪音)90 % 以上に聴取され、ほぼ必発と考えられており、 診断上、最も大きな手がかりとないます。             


ばち指(clubbed finger)

慢性に経過する 肺線維症(IPF: idiopathic pulmonary fibrosis) では、 3 0 ~ 60 %前後に認 められると報 告されてい ます。米国胸部 学会では、25 ~ 5 0 %と報 告れています。  

出典 慶応義塾大学医学部 医療健康情報サイト

検査・診断  

胸部画像検査(単純X線およびCT)
肺の中での病変の広がりや肺の縮み具合をみます。
CTでは間質性肺炎の中のどの病型かをある程度見分けることが可能です。特徴的な蜂巣肺を確認できます。
X線では、すりがらす陰影 や輪状陰影 が確認できます。

呼吸機能検査
スパイロメトリーで肺のふくらみや酸素を取り込む能力を調べ、重症度を判定する際の目安にします。

吸い込んで吐き出せる空気の量(肺活量)を測定します。体格や年齢から求めた平均値との比率を%肺活量といい、重症度の良い目安になります。

また酸素を取り込む能力を評価する拡散能検査を行うこともあります。

血液検査
大きく分けて、炎症の強さを調べる検査と肺組織の破壊の程度を調べる検査に分けられます。

炎症の程度を調べる検査としては、LDH、血沈、CRPなどがありますが、これらは間質性肺炎に特異的なものではなく、風邪や通常の細菌性肺炎でも上昇します。

後者の肺組織の破壊の程度を調べる検査としてはSP-A、SP-D、KL-6といったものがあり、これらの上昇は間質性肺炎に特徴的で、間質性肺炎の勢いや治療効果の判定に信頼性が高い検査です。 

出典 慶応義塾大学医学部 医療健康情報サイト

治療方法

病気が極めて安定し、進行してもゆっくりの場合は、症状に対応した治療、(咳止めなど)や、無治療で経過を見る事もあります。

禁煙
喫煙は万病のもと。他の病気治療でも、基本は禁煙です。まして肺の病気であれば、治療の第一歩です。

薬物治療その他

  • ステロイド、免疫抑制剤、抗繊維薬
  • 酸素療法(在宅酸素療法)
  • 呼吸リハビリテーション、作業療法も選択の1つです。


肺移植
肺移植の適応は非常にまれですが若い患者さんで、他の治療方法がなく、かつ一定の厳しい基準を満たす場合は肺移植についても検討される事があります。ほとんど無いと考えてよさそうですね。


栄養管理
栄養価の高く、バランスの良い食事をとることが大切です。


運動
肺それ自体の機能を向上させることは困難ですが、運動することにより、呼吸筋や下肢の筋力を維持、向上することは可能です。
これらの筋力の維持、向上が日常生活を高いレベルで維持することに役立ちます。

先ずは散歩や体操などのできることからはじめることが大切です。

状態によっては深呼吸も立派な運動となります。息切れが生じなければ、ランニングやウエイトトレーニングを取り入れることも可能です。

また風邪の予防、禁煙、規則正しい生活など一般的な日常生活の管理も重要です。

間質性肺炎は進行すると、
「息苦しい →活動性の低下(運動不足)→ 筋力低下 → さらに息苦しさ増強」という悪循環に陥りやすいので注意が必要です。

作業療法介入の実際の流れ

安静度の確認をして、バイタルサインのチェック

  • 呼吸数、脈拍、血圧、Spo2などのバイタルサインを確認します。あわせて、呼吸状態も確認します。

認知機能の評価

指示理解は可能か?また、指導したことを記憶として定着できるのかを、動作指導をしながら、またHDS-Rなどを使用し、評価しましょう。

ADL介入

基本はCOPDの患者さんへの介入と変わりません。呼吸困難感に応じて以下の方法を適宜試していきましょう。必要がなければ、この通りに実施する必要はありません。

食事

むせこみや、誤嚥に注意します。食事の1回量が多いと、食後に呼吸困難感をきたすことがあります。

  • テーブルや椅子の高さなどの環境調整をします。
  • 食事量は小分けにする。少量ずつ数回に分けて休憩をとりながらたべるよう指導します。

整容

  • 前かがみで洗顔をする動作は、胸郭の動きを制限し、息苦しさを生じさせやすい動作です。

更衣・上衣

前あきシャツ
上肢の挙上や、前かがみ動作が少ない方が呼吸困難感は少ないです。

かぶりシャツ
体幹前傾位、上肢の挙上位となるため、息苦しさを生じさせやすい。衣類の種類の大きさの工夫をして上肢の動きを小さくします

更衣・下衣

  • 立位で下衣の上げ下げを行う時、前かがみ動作で、Spo2が低下しやすい。
  • 腹部を圧迫いないように、椅子を高くして、足を組みやすくすることや、立ち上がりをしやすくする。
  • 前かがみではなく、足をあげて、下衣を通す。

排泄

排便では、いきみ動作時に呼吸パターンが崩れやすいです。洋式便器が基本です。(念のため)

  • いきみ動作の際は息をこらえないように呼吸と同調していきむように指導します。
  • 排泄後のトイレットペーパーでふく動作や、立ち上がりの時は休憩を十分に挟みます。
  • その後、立位でひと呼吸おいてから、ズボンの上げ下げを行います。

入浴

日常生活動作の中で最もSpo2が低下しやすい動作が入浴動作であり、細かな配慮、工夫が必要となります。

  • 入浴後、体をふく時に使用するタオルは大きい物にして、上肢の動きを小さくします。
  • 脱衣所や、浴室内に椅子を設置するなど、休憩や行為動作を行いやすい環境設定をします。
  • 洗体動作の時は、前傾姿勢を避けるために、椅子の高さは高めに設定し、呼吸に同調して行うように指導する。
  • 湯舟の中のお湯の量は、みぞおち下を目安にします。
  • 湯舟にはるお湯の温度は、ややぬるめに設定することで、呼吸への負担をへらすことが可能です。
  • 頭を洗う時はシャンプーハットを使用すると、体幹の前傾位は軽減され、呼吸苦の軽減につながります。

リスク管理

呼吸困難感を感じている時は、無理をさせず、休憩を入れ、呼吸法の指導等を行います。

まとめ

  • OTの役割は「呼吸困難感の少ない」動作指導を行うことです。
  • 基本的な「呼吸生理」の知識は必要です。少しずつ勉強していきましょう。
  • また「排痰手技」や呼吸困難感が強い時の「呼吸ケア」の方法も徐々に習得していきましょう。

OTにとっても、担当する機会の多い「誤嚥性肺炎」についての記事も作成しました。

ぜひご覧ください。

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