今日は、実際の実習場面で、どのようにROM測定をすすめていけば良いのかを説明していきます。
- ROM測定を患者さんで行う時の実際の流れや、説明の仕方を分かり易く説明します。
- 緊張してしまい、うまく測定できないことが多いですが、この記事を読んで何度もシュミレーションを行えば、きっと本番での不安も軽減しスムーズな測定の助けとなります。
- 実習生の皆さんが、つまずき易いポイントも解説してあります。
患者さんで測定する時の流れ
先ず最初に、安心してください。患者さんを前にして、いきなり「学校で習っているから、できるでしょ。やってみて」なんてことはないかと思います。
実習中の全ての測定・治療は
- 見学
- 実施
- 模倣
のプロセスを経ることが定められています。
また、見学に入る前にバイザーが、これから実施することの、目的、方法、器具の使用方法、患者さんへの指示の仕方を説明することになっています。
- 患者さんを被検者にして、バイザーが実際に測定する様子を実習生の皆さんに見せてくれます。(見学)
- 次に、学生さんが主体的に測定を行います。バイザーが足りない点や、改善点を補いながら、手取り足取り、学生と一緒に行ってくれます。(模倣)
- ある程度、学生さんに任せることができるとバイザーが判断して、初めて学生さん自身で測定します。(実施)
実習では上記の手順を踏んで学生さんの指導を進めていくよう、定められています。(バイザーの指導方法は国や協会が定めたガイドラインによって定められています)が、時間の関係や、個々のバイザーの考え方によって、省略されることもあります。
ROM測定の目的、方法、注意事項をおさらいしておこう
そもそも、何のために、関節可動域を測定するのでしょうか?
- 関節可動域の異常の有無及び、程度の確認のため
- 関節の動きを阻害する因子を発見するため。
→可動域制限の原因は骨性(強直)?軟部組織(拘縮)?などをエンドフィールより確認する。拘縮が原因ならROM-ex を治療方法として選択できるし、骨性の制限であれば、セラピストの治療の適応外となります。 - 治療目標・方法選択の材料とするため
- 治療効果を判定するため
対象とする患者さんによって測定する目的は異なりますが、概ね上記の4つの中に含まれます。
ROM測定の方法は 「測定の場面にて」を参照してください。
次にROM測定のリスクについて説明します。
- 痛み、痙性を誘発しない 代償動作に気を付ける
- 測定部位は最大限露出すること
- 体位変換は最小限にすること。経時的な測定が必要な場合、同じ肢位で測定す
測定の場面にて
バイザーは、カルテ情報、患者さんとの問診、視診等により、測定部位を選択し、測定部位選定の理由を説明してくれます。しっかりと聞いておきましょう。
バイザーは測定前に痛み、皮膚の状態 炎症症状の有無(腫脹・熱感)、左右差の有無等を確認しておき、それらに配慮して 実際に測定することを学生さんに伝えています。
そして、患者さんで実際にデモンストレーションをします。よく目に焼き付けておき、疑問点があったら質問しておきましょう。
さぁ、次はあなたの番です。
1.自己紹介と測定目的の説明を行う。

例・作業療法士の◯◯です。肩の(屈曲) 着替え動作等の日常生活動作時にどれくらい支障があるかを判断するた めに(肩)がどれくらい上がるかを測定させていただきます。 等
2.機器の説明 と、使用法方法の説明、を患者さんに行う。

こちらのゴニオメーターという関節の角度を測る機器でこのように測定します。(自分の手首・肘等に当ててみせてみる)
3.露出の必要性の説明、骨指標(基本軸・移動軸)の説明と触診の実施、測定肢位の説明と実演を行う

正確に測定するためには、基準となる場所を確認する必要があるので、肌を露出させていただき確認します。肩関節 の屈曲は肩峰を通る床への垂直線が基本軸となっています。移動軸は上腕骨となっています。(触診しながら、説明する。)測る姿勢は座った状態で、手は中間位に保ってください。
(5)患者さんの了解を得る

何か質問はありませんか?では測定させていただきますが、よろしいでしょうか?
ROM上手に測定できなかった!
必死で覚えた、基本軸、移動軸、参考可動域も無事説明することができました。そして患者さんを前にしてゴニオメーターを当てて測定してみました。
しかしほとんどの実習生の皆さんは、うまく測定することができません。学校でもあんなに一生懸命練習したのに、、、。なぜなら、
- 骨指標(肩関節であれば、肩峰の位置)がわかっていないので、設定した基本軸が誤っている
- ゴニオメーターの目盛りを読むことに集中し過ぎて、初めに設定した基本軸が動いてしまっている。基本軸がずれてる(ことに気付かない)
- 患者さんに触れる経験が少ないため、endfeelがわからない。そのため最終可動域に達していない状態で目盛りを読んで角度を測定している。
- ゴニオメーターの扱いに慣れていない。角度計を予め想定される角度に開いた状態でセットしていないので、もたついてしまい、余計に焦ってしまう
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